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執筆者の写真寺川真嗣

フォトグラファーと言う仕事からの発想


写真を撮影する仕事は、大雑把に言うと、目の前の3次元映像を、2次元の映像に再変換することです。再変換にあたって、対象を照らす光や、撮影する角度、画角などの要素を使って、時には、全く違ったイメージに演出したり、現実の映像と変わらなく見えるようにする。その技術が、撮影の仕事と言えます。


人間が視覚によって対象を認識する時、平行に並んだふたつの目によって、対象を捉えて、2枚の画像情報から脳内で処理を加えて、イメージとして認識します。ふたつの目によって、位置の違う情報を得て、その差から距離を測ったり立体物の把握をするのです。ところが、普通のカメラは単眼で1点からの情報によって画像が作られます。

そのため、肉眼で見る映像と、写真で見る印象が全然違う、自分のスマートフォンで写真を撮っても、思ったように写らないと感じることがあるのはそのためです。

つまり、そもそも写真の映像と肉眼で見るものは情報の入り方が違うものなのです。

そこで、人が認識する「心象」とカメラが捉えた「写像」を近づける工夫が必要になります。


QLCLEが取得している特許中に、その工夫が活かされています。


QLQLは、視覚的な画像の連続性を再現して、擬似的な立体視を実現するものです。

連続性を再現するためには、すべての画像に数学的な整合性を持たせる(等距離、等間隔で画像を取得する)訳ではなく、それぞれの角度によって画角や大きさを変えて、心理的整合性を優先する手法です。つまり、「写像」を「心象」に近づけるため変化させるのです。


【0049】

7台のカメラC1~C7は、左右方向(水平方向)については同一の位置に配置する一方(図2参照)、上下方向(垂直方向)については異なる角度(伏角又は仰角)から被写体1を撮影することが出来るように異なる高さ位置に配置する(図1参照)。なお、カメ

ラC1~C7の配置は、被写体1に対して等距離の同心円状に配置する必要はなく、それぞれのカメラC1~C7が被写体1に対して感覚的に最適と思われる距離に配置して良く、各カメラC1~C7に装着するレンズの種類(焦点距離)も異なるものとすることが出来る。これは、マルチアングル画像として被写体1を垂直方向に回転させたときに被写体1の大きさが感覚的に変わらないようにして画像の連続性を実現するためである。具体的には、次のとおりである。

【0050】

視覚を通じて物体を把握するときには自分との相対的な位置関係によって心理的な影響を受け、アングルによって物体を把握する心理が変化する。例えば、手に取って眺める石ころが自身より小さな物体としての認識が働き、あるいは、高いビルの上から平屋の家屋が並ぶ様子を見下ろすと、距離感覚が狂いあたかも小さな模型が並んでいるように錯覚するように、ハイアングルから被写体を見た場合(被写体を高い位置から見下ろした場合)には、一般に被写体は小さく認識される。逆に、ローアングルから被写体を見た場合(被写体を低い位置から見上げた場合)には、大木を見上げた場合のように自分より大きな物体としての認識が働き、被写体は大きく認識される。また、ローアングルから見上げた場合には被写体のパースペクティブ(遠近感)が大きい方がより自然に見える。

【0051】

そこで、画面上で被写体を回転させたときに連続的な同じ大きさの被写体に見せるために、ハイアングルからは被写体1を大きく撮影する(例えばカメラC3~C1のレンズの焦点距離を順次大きくする)一方、ローアングルからはワイドレンズを使用して被写体1を小さく撮影する(例えばカメラC5~C7のレンズの焦点距離を順次短くする)。このように垂直方向の角度によって、カメラC1~C7の焦点距離を変えて撮影を行えば、画面上で被写体1を垂直方向に回転させた場合にも被写体1の大きさが感覚的に変わってしまうことを防ぐことができ、マルチアングル画像としての連続性を確保することが可能となる。



人の持つイメージを再現するためには、数学的なアプローチだけでは難しい。さりとて、数学的な再現が出来なければ、デジタルを使っての表現が出来ない。

フォトグラファーとして、技術と表現のあいだを埋めることが出来ないかと始めたのが私たち、QLCLEです。



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